ビッグデータとは何か?

ビッグデータとは、従来の手法では処理や分析が不可能なほど膨大な量のデータの集合体を指します。

学習目的

この記事を読み終えると、以下のことができるようになります。

  • ビッグデータの定義
  • ビッグデータの用途と課題を理解する
  • ビッグデータとAIの関係を説明する

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ビッグデータとは何か?

ビッグデータとは、非常に膨大かつ複雑で、急速に成長するデータの集合体のことで、事実、従来のデータ処理ソフトウェアでは管理しきれないほど膨大です。これらの集合体は、構造化データと非構造化データの両方を含みます。「ビッグデータ」には一般的に認知されている技術的に正確な定義はありませんが、一般的に急速に拡大する膨大なデータの集合体を指す用語として使用されています。

最初にコンピューターが開発されて以来、デジタルストレージの容量は飛躍的に増大しています。データを大規模に保存し、数秒で取り出すことが可能になっています。クラウドコンピューティングによって、データの保存は事実上無制限になっています。これらの発展がビッグデータの出現を可能にしました。さらに、インターネットの普及に伴い、ユーザーの行動、Webホスト型コンテンツ、モノのインターネット(IoT)デバイスからのデータが記録されるようになり、これを分析して予測や高度な人工知能(AI)モデルの訓練に使用できるようになっています。

ビッグデータは、一般に公開されている情報源から得られることもあれば、独自の情報源から得る場合もあります。ビッグデータの例には、以下のようなものがあります:

  • 顧客アンケートデータ
  • アプリケーション内でのユーザー行動の記録
  • センサーデータ
  • ソーシャルメディアのフィード
  • ウェブページコンテンツ
  • 監視データ
  • 音声録音

ビッグデータの一般的な用途例:

  • 予測分析
  • ユーザー行動分析
  • AIモデルのトレーニング
  • 製品開発
  • 顧客体験の最適化

ビッグデータの3つの「V」とは?

何をもって「ビッグデータ」とするかについて、正確な共通認識はありませんが、この用語は通常、量(Volume)、速度(Velocity)、多様性(Variety)という一般的な基準を満たすデータの集合体に適用されます:

  • 量(Volume):多くの場合、ビッグデータは、数百テラバイト、あるいはそれ以上のデータを指します
  • 速度(Velocity):ビッグデータセットには急速に多くのデータが速いペースで継続的に取り込まれ、多くの場合継続的に拡大します
  • 多様性(Variety):ビッグデータセットは構造化データおよび非構造化データの双方が格納され、そのデータは文書、写真、音声、動画、ログなどさまざまです

これらの属性を合わせて、「3つのV」と呼びます。

ビッグデータとAI

AIとは、テキストの生成や推薦文の作成など、認知タスクを実行するコンピュータの能力を指します。ある意味で、ビッグデータとAIは共生関係にあります:

  • AIには学習させるための大規模なデータセットが必要です
  • 対照的に、ビッグデータセットはAIの助けを借りることでより簡単に管理・分析を行います

膨大な量のデータセットにより、AIが効率的に、正確で包括的なトレーニングを行い、高度なアルゴリズムを可能にします。機械学習のトレーニングには精選されたラベル付けされた大規模データセットを使用します。一方でディープラーニングモデルはラベル付けされていない未加工のデータを処理することができますが、それに応じてより多くの計算能力が必要となります。

例えば、大規模な言語モデル(LLM)であるChatGPTはその学習に、数百万もの文書が使用されています。ユーザーからの入力を受けて追加の訓練を行い、人間のような応答を生成できるようにしています。別の例として、ソーシャルメディアプラットフォームは、利用者向けにコンテンツを厳選するために機械学習アルゴリズムを利用しています。何百万人ものユーザーが投稿を閲覧し、「いいね!」を押しているため、人々が何を見たいかに関する多くのデータを保有しており、そのデータを使って利用者の行動を基にしたニュースフィードや「おすすめ」ページを厳選することができます。

対照的に、AIの高速処理と関連付けの能力は、人間や従来のデータ照会ソフトウェアだけでは処理できなかった膨大なデータセットの分析に使用することが可能です。Netflixのような配信サービスでは、視聴者の過去の視聴行動を基に、どのような番組や映画を最も楽しめるかを予測する独自のアルゴリズムを使用しています。

ビッグデータ管理における課題とは?

情報過多:散らかりすぎた部屋では必要なものを見つけるのが難しいように、このような大規模なデータベースは、皮肉なことに、有用で関連性のあるデータを見つけることが困難です。

データ分析:一般的に、データは多ければ多いほど、より正確な結論を導き出すことが可能です。しかし、従来のソフトウェアでは、このような大量のデータ(ビッグデータは人間の分析能力をはるかに超えています)を処理するのは困難であるため、膨大なデータセットから結論を導き出すのは困難です。

データの検索:特にデータがクラウドに保存されている場合、データの検索にはコストがかかる場合があります。オブジェクトストレージは低メンテナンス性で、ほぼ無制限であるため、ビッグデータセットに最適です。ですが、オブジェクトストレージを提供する業者は多くの場合、格納されたデータを取り出すためにエグレス料金を請求します。

データの正確性の確保:不正確なデータや信頼できないデータが紛れ込んだ場合、そのデータを基にトレーニングされた予測モデルや機械学習アルゴリズムが誤った結果を導き出す原因となります。しかしながら、膨大かつ急増するデータの正確性をリアルタイムでチェックすることは困難です。

プライバシーと規制に関する懸念:ビッグデータの集合体には、一般データ保護規則(GDPR)などの規制の枠組みにおいて個人データとみなされるデータが含まれている可能性があります。現時点でデータセットにこれに該当するデータが含まれていない場合も、新たな枠組みで個人情報の定義が拡大され、既存のデータが該当するように変更される可能性もあります。組織は、自分たちのデータセットにこのようなデータが含まれていることを認識していない可能性がありますが、もし認識している場合、データが不正にアクセスされたり使用された場合、罰金や罰則の対象となります。さらに、データベースに個人情報が保管されている場合、データ漏洩が発生した場合、データベース所有者の責任は増大します。

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