企業のIT部門にとって、信頼性の高い接続の確保は大きな課題です。パブリッククラウド、プライベートクラウド、パブリックネットワーク、プライベートネットワーク、SaaSアプリ、セルフホスト型アプリ、オンプレミス型データセンター、そしてあちこちに分散する何千もの管理・非管理デバイス...。企業として生産性を維持するためには、これらすべてが互いに安全に接続する必要があります。従来は、MPLSルート、専用線、パブリックインターネット接続、VPN、LAN、WANを組み合わせて接続するしかありませんでした。
このような複雑な環境は今や珍しくありません。しかし、互換性の問題、コンプライアンス要件、テクノロジースタックの異なる複数ベンダーの使用により、すべての人とものを接続することはほぼ不可能になってきています。技術チームは気づけば既存環境の維持にさえ苦労し、ビジネスの成長を可能にするアーキテクチャを設計するためのリソースが不足する事態になっています。
ITは付加価値を高めるどころか、足踏み状態にあります。
企業は、自社のネットワーク、クラウド、エンドポイントを、接続場所や接続対象を問わず簡単、高速かつ安全に接続する必要があります。そしてIT部門は、現在だけでなく将来も見据えたプロセス、ポリシー、インフラの構築に集中できるようにする必要があります。
言い換えれば、企業とそのITチームには、あらゆるユーザー、あらゆるデバイスを、あらゆるネットワーク、あらゆるアプリへとつなぐ「エニーツーエニー」の接続が必要なのです。そして、多様なネットワーキングのニーズに対応するために、ネットワーキングを複雑にしている原因を排除する必要があります。
今日の技術チームが直面する課題について、あるSRE・クラウド技術責任者は、「従業員をオンライン状態に維持するだけで、一連の管理上のボトルネックが発生する」と述べています。
Forrester Researchが2023年に複雑化したデジタル環境の影響を調査したところ、調査対象となった449人のIT意思決定者のうち39%が「コントロールを失いつつあると感じている」と答えました。従業員1000人以上の企業は平均150以上の独自SaaSアプリを使用していることが別調査で判明しており、そんな状況でコントロールを喪失しても不思議ではありません。
増えているのは、アプリケーションの数やネットワークの種類だけではありません。上記のForresterの調査では、「48%の回答者が、ユーザータイプの変化とユーザー数増加によりサポートに苦慮していると回答」しています。
ただでさえ複雑な環境に、ITリソースを束縛するさまざまなユーザーを追加すれば、不便や管理上の課題が生じるだけでなく、ビジネス成長の足かせになります。Forresterによると、これらの問題は「従業員の経験、生産性、競争優位性、市場投入までの時間、そして...全体的なリスクプロファイルに影響」します。
エニーツーエニー接続とは、あらゆるクラウド、データセンター、ネットワークが簡単に相互接続できて、企業のセキュリティポリシーが適用され、ユーザーにとってのフリクションや基盤インフラストラクチャの互換性の問題が生じない環境を指します。要するに、従業員がいつでもどこででも自分のデバイスを開いて仕事を始められる環境です。また、IT部門はサービスの有効化によって新規ユーザーのオンボーディングや新機能のプロビジョニングができるため、生産性向上までの時間が大幅に短縮されます。
ネットワークやクラウドはさまざまな場所で運用されていますが、エニーツーエニー接続を可能にする統一モデルはあるのでしょうか?
その答えは専用の「接続レイヤー」にあります。つまり、インターネットネイティブでありながら、オンプレミスのネットワークやインフラと互換性があり、現代のワークフォースに届くようグローバルに分散された階層を作ることです。この接続レイヤーは、オンプレミス型とクラウド型を含む企業インフラ全体で、ユーザー、デバイス、アプリケーションをサポートできなければなりません。
Forresterによると、ITリーダーの58%が「このタイプのエニーツーエニー接続が生産性を高める」と回答し、さらに48%が「エニーツーエニー接続がITコストを削減する」と 回答しています。生産性向上とコスト削減の効果が見込めるなら、進めない手はありません。
エニーツーエニー接続が実現すれば、IT部門は接続性と信頼性の確保に割く時間を減らし、将来のイニシアチブをサポートするインフラの構築により多くの時間を割くことができます。そして、他の事業部門は好きなだけ拡大し、革新することができます。エニーツーエニー接続を活用するあるソフトウェア会社のように、より多くのユーザーを安全にオンボーディングしつつ、グローバルネットワーク上に新しい機能やサービスを構築することも可能になるのです。
エニーツーエニーの接続性を持つ企業は、クラウドコンピューティングの拡大やオフィスワークの復活、あるいはその他の前例のない環境変化にも対応できます。
生産性の向上、ボトルネックの減少、浪費時間の削減は、いずれも目指す価値のある目標です。しかも、それらはイノベーションに費やす時間、ひいては企業が競合に追いつき、追い越す能力に大きな影響を与えます。
Cloudflare は、エニーツーエニー接続を提供する初のコネクティビティクラウドを構築しました。プログラム可能なクラウドネイティブサービスのインテリジェントな統合プラットフォームです。エニーツーエニー接続以外にもさまざまな機能も備えていますが、ネットワーキングの観点から重要なのは、本質的にあらゆるものをあらゆるものに接続するプラットフォームだという点です。例えば、パブリックインターネットに接続されたラップトップを使うリモートワーカーは、セキュアでプログラム可能なインフラ非依存ネットワークを介して、エニーツーエニー接続でオンプレミスのサーバーに接続することができます。
Cloudflareのコネクティビティクラウドにより、IT部門は環境、アクセス管理、時間のコントロールを取り戻すことができます。
この記事は、技術関連の意思決定者に影響を及ぼす最新のトレンドとトピックについてお伝えするシリーズの一環です。
新タイプのクラウドでITとセキュリティの複雑さをどう克服できるかについては、Forresterの調査レポート『コネクティビティクラウドでコントロールを回復』をご覧ください。
この記事では、以下のことがわかるようになります。
複雑なデジタル環境がビジネスの足かせになる理由
エニーツーエニー接続の意味
接続の簡素化により失われた生産性を回復し、イノベーションを加速する方法