アダプティブビットレートストリーミングとは?

アダプティブ・ビットレート・ストリーミングは、ネットワークの状況に応じてビデオの品質を調整し、HTTPネットワーク上での動画のストリーミングを改善します。この処理により、デバイスや場所、インターネットの速度にかかわらず、できるだけスムーズに再生できるようになります。

学習目的

この記事を読み終えると、以下のことができるようになります。

  • アダプティブ・ビットレート・ストリーミングとは何か、その仕組みを知る
  • アダプティブ・ビットレート・ストリーミングに対応しているプロトコルを説明する
  • アダプティブ・ビットレート・ストリーミングの利点を理解する

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アダプティブビットレートストリーミングとは?

アダプティブ・ビットレート・ストリーミングとは、HTTPを使用したネットワーク上でのストリーミングを改善するための手法を指します。「ビットレート」とは、データがネットワーク上をどれだけ速く移動するかを意味し、インターネット接続の速度を表すのによく使われます。高速な接続とは、高ビットレート接続のことです。ストリーミング(オンラインでの動画視聴を可能にするプロセス)は、リモートサーバーにホストされている動画ファイルをクライアントに送信する仕組みで構成されています。ストリーミングでは、動画が小さなクリップに分割されるため、視聴者は動画全体の読み込みを待たずに視聴を開始することができます。

まず、さまざまなネットワークの状態に合わせて、複数のバージョンの動画ファイルを作成し、エンコードします。次に、帯域幅やデバイスの種類などの要素に基づいて、動画プレーヤーは、デバイスが、可能な限り少ない量のバッファリングで再生できる範囲で最高の品質のファイルを選択します。これにより、世界中のエンドユーザーが、使用しているデバイスやインターネットの速度に関わらず、可能な限りスムーズに再生することができます。

アダプティブ・ビットレート・ストリーミングは、管理者が行う新入社員への仕事の割り振り方に似ています。従業員が仕事に慣れるために、管理者はまず少ない数の簡単な仕事を割り当てることから始めます。従業員が入門的な案件を無事に完了したら、管理者はより複雑なタスクの割り当てを開始します。従業員が自分の業務に慣れてきたら、管理者は従業員が学びながらも過負荷にならないように従業員の仕事量を継続的に調整します。

同様に、アダプティブ・ビットレート・ストリーミングでは、動画プレーヤーは接続に耐えられる動画の品質を学習します。接続が動画セグメントの再生に耐えられない場合、プレーヤーは次のセグメント用に、より低品質のより小さいファイルに切り替えます。視聴者は画質の変化を感じるかもしれませんが、動画は継続して再生されます。

アダプティブ・ビットレート・ストリーミングの仕組みとは?

アダプティブ・ビットレート・ストリーミングは、動画をエンコードするところから始まります。エンコードとは、圧縮されていない動画を、多くのデバイスで保存・使用できる形式に変換するプロセスのことです。アダプティブ・ビットレート・ストリーミングが機能するためには、異なるビットレートに対応した異なる動画ファイルを作成する必要があります。

エンコード後、動画は数秒の長さの小さなファイルにセグメント化されます。ほとんどのストリーミングの設定では、動画ファイル全体を一度に送信するのではなく、一連のセグメントに分けて送信します。セグメント化されていない場合、動画プレーヤーはコンテンツの再生を開始する前に動画ファイル全体をダウンロードする必要があるため、セグメント化のプロセスは特に重要です。

さらに、調整プロセスが動画セグメントの終了時にトリガーされるため、アダプティブ・ビットレート・ストリーミングを実現するためにセグメントは重要です。視聴者の接続が、バッファリングなしでストリーミングするのに十分な速度で動画をダウンロードできない場合、動画プレーヤーはセグメントが終了すると、より小さいファイルに切り替えます。

動画の再生を開始するとき、多くの動画プレーヤーは、利用可能な最も低いビットレートのファイルを要求することから始めます。プレイヤーは、クライアントがより高いビットレートのファイルを処理できると判断した場合、クライアントが処理できる最高のビットレートのファイルを見出すまで、より高いビットレートのファイルを選択します。選択されたファイルが接続に最適なものであれば、条件が変わらない限りプレーヤーはそのビットレートのセグメントを要求し続けます。これは、アダプティブビットレートまたはエンコーディングの「ラダー」と呼ばれています。プレーヤーは、接続に十分な帯域幅があり、より高いビットレートの動画に対応できる場合は、ラダーを上に移動し、帯域幅が減少するとラダーを下に移動します。

アダプティブ・ビットレート・ストリーミングの利点とは?

2021年現在、視聴者らは1日あたり10億時間ものYouTube動画をストリーミングで利用しています。動画コンテンツは、コミュニケーション、広告、教育などの様々なチャネルで増え続けています。そのため、動画再生の品質を確保することは重要です。アダプティブ・ビットレート・ストリーミングには、動画の品質を向上させる多くのメリットがあります。

  • アクセスの拡大:アダプティブ・ビットレート・ストリーミングがなければ、低速の接続や特定の機器を使用している視聴者は、一部の動画を見ることができません。
  • ユーザーエクスペリエンスの向上:アダプティブ・ビットレート・ストリーミングによりバッファリング量が減少し、ユーザーが読み込みの遅延にイライラすることを減らすことができます。
  • モバイルでも途切れることのない視聴を可能にする:モバイル端末でのストリーミングは2012年から1,000%増加しており、モバイルストリーミングへの最適化は非常に重要です。視聴者が場所を移動しながらモバイルで動画コンテンツをストリーミングする場合、ビットレートは一つのデバイスの上で大きく変化する可能性があります。例えば、自宅のWi-Fiネットワークの接続強度は、電車やショッピングモールでの接続よりも強い場合があります。アダプティブ・ビットレート・ストリーミングは、状況の変化に合わせて継続的に調整することで、モバイル端末での視聴が途切れることを最小限に抑えることができます。

アダプティブ・ビットレート・ストリーミングに対応しているストリーミングプロトコルは?

特定のストリーミングプロトコルでのみアダプティブ・ビットレート・ストリーミングが実現可能です。プロトコルとは、ネットワークを介したデータのパッケージ化や処理方法を規定する一連の標準規格です。ストリーミングには独自のプロトコルセットがあります。

アダプティブ・ビットレート・ストリーミングに対応する3つの最も一般的なストリーミングプロトコルは、HTTPライブストリーミング(HLS)Dynamic Adaptive Streaming over HTTP(DASH)HTTP動的ストリーミング(HDS)です。

この3つのプロトコルはすべて、動画をエンコードし、分割してからストリーミングするという基本的なプロセスは同じです。しかし、それぞれのプロトコルには、独自のエンコードまたはファイルタイプの要件があり、対応するデバイスも異なります。たとえば、一部のプロトコルでは、特定のエンコード形式(さまざまなプラットフォーム、プログラム、およびデバイス用に動画ファイルを最適化する方法)を要求します。

  • HLS:HLSは、オンデマンドおよびライブストリーミングで動作し、 H.264またはH.265のエンコード形式が必要です。一部のプロトコルとは異なり、HLSは特別なサーバーを使用する必要がありません。当初、HLSはApple社のデバイスにのみ対応していましたが、現在はデバイスを選びません。ただし、Apple社のデバイスはHLS形式しか受け付けていません。
  • DASH:DASH は特定のエンコード規格を必要としません。また、 オリジンサーバーHTTPを介して実行されるため、どのようなコンテンツ配信サーバーでもDASHストリームを提供するように設定することができます。DASH形式は他の形式(HLSを除く)と同様、Apple社のデバイスでは動作しません。
  • HDS:元々はAdobe Flash(現在は廃止されています)で動作するように設計されたこの形式は、オンデマンドやライブストリーミングに使用でき、HTTP接続で動作します。HDS形式は、動画をMP4からF4F(フラグメントMP4)とH.264エンコード規格に変換する必要があります。唯一Apple社のデバイスのみ、HDSプロトコルとの互換性がありません。
  • Cloudflareはアダプティブ・ビットレート・ストリーミングをサポートしているか?

    Cloudflare Streamは、先進国におけるインターネット人口の99%の100ミリ秒圏内で運営している動画プラットフォームです。アダプティブ・ビットレート・ストリーミングに対応し、自動的に複数の画面サイズと品質レベルで動画をエンコードし、さまざまなデバイスとビットレートをサポートします。Cloudflare Streamを使用した再生の改善の詳細についてはこちらをご覧ください