インターネットエクスチェンジとは?| Cloudflare

インターネットエクスチェンジ(IXP)とは、ISPやCDNなどの通信会社に管理されている物理インフラストラクチャです。

学習目的

この記事を読み終えると、以下のことができるようになります。

  • インターネットエクスチェンジポイント(IXP)の定義
  • IXPの仕組みを説明する
  • ピアリングによるネットワーク連携について理解する
  • IXPによるBGPの活用方法を探る

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インターネットエクスチェンジポイントとは?

インターネットエクスチェンジポイント(IXP)とは、インターネットサービスプロバイダー(ISP)とCDNなどのインターネットインフラストラクチャを提供する企業が相互に接続するための物理的な場所を指します。これらの場所は、異なるネットワークの「エッジ」に位置し、ネットワークプロバイダーが自身のネットワーク外とトランジットを共有することを可能にします。IXPの拠点内にプレゼンスを持つことで、企業は他の契約ネットワーク間のトランジットの経路を短縮することができ、それによって レイテンシーを削減、ラウンドトリップタイムを改善、そしてコストを削減できる可能性があります。

インターネットエクスチェンジポイントの仕組みは?

IXPは基本的に、異なるメンバーネットワーク間でトラフィックをルーティングするためのネットワークスイッチが置かれている1つまたは複数の物理的な場所です。これらのネットワークは、様々な方法で物理的なインフラストラクチャと関連サービスの維持コストを分担しています。パナマ運河など第三者機関を経由して貨物を輸送する際にコストが発生するのと同様に、トラフィックが異なるネットワーク間で転送されると、これらのネットワークから配送料が請求されることがあります。このようなコストや、第三者機関のネットワークを経由してトラフィックを送信することによる欠点を避けるために、メンバー企業はIXPを介して相互に接続し、コスト削減と遅延の低減を図っています。

IXPは、大規模なレイヤー2のLAN(OSIネットワークモデル)であり、複数の物理的な建物間で相互接続された複数のイーサネットスイッチで構築されています。IXPの基本的なコンセプトはホームネットワークと変わらず、唯一の違いは規模にあります。IXPは、100メガビット/秒から何テラビット/秒の範囲までのトラフィックを交換することができます。規模に関係なく、IXPの主な目的は、多くのネットワークのルーターが簡潔かつ効率的に接続されていることを確認することにあります。これに対し、家庭では通常、1台のルーターと数台のコンピューターやモバイル端末があるだけです。

この20年間、世界的なインターネットの爆発的な拡大と並行して、ネットワークの相互接続は大きく進展してきました。この進展には、ネットワーク機器を収容するための新しいデータセンターが施設されてきたことも含まれています。これらのデータセンターの中には、インターネットエクスチェンジポイントがますます隆盛である背景もあり、膨大な数のネットワークが集まっているところもあります。

インターネットエクスチェンジポイントはなぜ重要なのか?

IXPがなければ、あるネットワークから別のネットワークに向かうトラフィックは、送信元から送信先までトラフィックを運ぶために仲介ネットワークに依存する必要性が生まれます。この仲介ネットワークは「トランジットプロバイダー」と呼ばれます。国際的なインターネットトラフィックの大部分はこの方法で流れており、世界中のあらゆるISPとの直接接続を維持することはコストがかかりすぎるため、場合によってはこの方法をとることに問題はありません。しかし、ローカルトラフィックの伝送をバックボーンISPに依存すると、バックボーンキャリアが全く別の都市にある別のネットワークにデータを送信ことがあり、パフォーマンスが低下することがあります。このような状況は、最悪の場合、同じ都市の別のISPに向かうトラフィックが膨大な距離を移動して交換され、再び戻ってくるという「トロンボーン」と呼ばれる現象につながる可能性があります。IXPを持つCDNは、そのネットワーク内でデータが流れる経路を最適化し、非効率な経路を削減することができるという利点があります。

トロンボーン効果

インターネットのバックボーンプロトコルであるBGP

ネットワークは、BGP(Border Gateway Protocol)を使用して相互通信を行います。このプロトコルにより、ネットワークは内部要件とネットワークエッジの設定を明確に区別することができます。IXPでのピアリングはすべてBGPを使用します。

プロバイダーが異なるネットワーク間でトラフィックを共有する方法は?

トランジット

お客様とその上流プロバイダーとの間で結ばれる契約です。トランジットプロバイダーは、顧客にインターネットの他の部分への完全な接続性を提供します。トランジットは有償のサービスです。BGPプロトコルは、お客様のIPアドレスをトランジットプロバイダーに向けてアナウンスし、その後、グローバルインターネットの残りの部分に向けてアナウンスするために使用されます。

ピアリング

ネットワーク間で仲介者を介さずにIPアドレスを共有する方法に対して事前に執り行われた取り決めです。インターネットのエクスチェンジポイントでは、メンバーネットワーク間のデータ転送に関連するコストはほとんど発生しません。トラフィックが1つのネットワークから次のネットワークに無料で転送される場合、その関係は決済不要のピアリングと呼ばれます。

ピアリングと有償トランジットの対比

残念ながら、ネットワークによっては、データ転送にコストがかかってしまう場合があります。たとえば、市場シェアが比較的等しい大規模ネットワークは、他の大規模ネットワークとピアリングする可能性が高いですが、小規模ネットワークにピアリングサービスを請求する場合があります。1つのIXPで、メンバー企業が複数の異なるメンバー企業と異なる取り決めをしている場合があります。このような場合、企業はBGPプロトコルを使用して、コストの削減やレイテンシーの短縮に最適化されるようにルーティングプロトコルを設定することができます。

ピアリングの解除

時間の経過とともに関係が変化し、ネットワーク事業者が無償の相互接続の継続を打ち切る場合もあります。ネットワーク事業者がピアリングの終了を決定した場合、ピアリングの解除と呼ばれるプロセスが実行されます。ピアリングの解除は、トラフィック比率が悪いために一方の当事者が他方よりも多くの利益を得ている場合や、ネットワーク事業者が単に他方当事者に費用請求の開始を決定した場合など、さまざまな理由で発生する可能性があります。このプロセスは非常に感情的になる可能性があり、ピアリング関係が終了すると、退けられたネットワーク事業者が相手方のトラフィックを意図的に中断させることがあります。

IXPはBGPをどのように利用するか?

IXPのローカルネットワーク上で、異なるプロバイダーがBGPプロトコルを使用して1対1の接続を作成することができます。このプロトコルは、異なるネットワークが互いに自身のIPアドレスと、ダウンストリーム(すなわちお客様)に接続を提供したIPアドレスをアナウンスできるようにするために作られました。2つのネットワークがBGPセッションを確立すると、それぞれのルートが交換され、トラフィックがそれらの間を直接流れるようになります。

IXPまたはPNIインターコネクト

IXPの共有インフラストラクチャから、2つのネットワーク間の専用相互接続に移行したいと考えるほど、2つの接続はトラフィックが十分に重要であると考えられる場合があります。PNI(Private Network Interconnect)は、ネットワークAのポートとネットワークBのポートを直接接続する単なるダークファイバー接続(通常は単一のデータセンターまたは建物内)です。